医薬業界営業マン、おたまさんの日記

「健康に関してプロで在りたい」

【薬がいらなくなる?】医者から学ぶ食事の重要性〜後編〜

f:id:Otama3:20210322231105j:plain 前回の記事では、栄養の不足がもたらす病気について紹介しました。

日本は歴史上、栄養不足による脚気の大流行を2度経験しました。病気の原因がビタミンの不足であるという理解と飢餓の根絶により、その存在は姿を消しました。

しかしながら、私の働く薬業界で接点のある薬剤師の方々から、こんな話を良く耳にします。 「新型栄養失調が流行っている」 と。一体どういうことなのでしょうか。

今回紹介する本、「薬がいらない体になる食べ方」の内容でも、飽食の現代社会における栄養不足が指摘されていました。この新型栄養失調、実は私達の身近な問題なのかもしれません。

栄養には病気にならない力がある

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特定の栄養が不足することにより、発症する病気があることは歴史的にわかっています。脚気はビタミンB1の不足により起こりますが、そのほかのビタミン不足、欠乏によっても様々な病気が起こります。

  • ビタミンA欠乏:夜盲症など
  • ビタミンD欠乏:くる病など
  • ビタミンE欠乏:不妊症など

「不足することにより」という表現でお気付きになられた方が多いもしれません。これらの病気は、必要な栄養素が身体に満ちていれば、 未然に防ぐことが可能 なのです。

現場と本の結論が一致

私が働いている薬業界は、対処療法に用いる薬など、西洋医学が一般的に普及しています。また、西洋医学に加え、全体観をもつ東洋医学的考え方への知見も深い業界でもあります。

東洋医学の考えを併せ持った現場の薬剤師は、対処療法的な考えだけではなく、病気がなぜ現れたのかを考えます。原因を捉え、解決しようと突き詰めていくと、新型栄養失調により病気になっている人が多いという結論にいたっていました。言葉の表現は異なりますが、これは本で述べられている 現代の栄養不足 と符合します。

「病気の原因は栄養不足であり、その背景にあるのが日々摂る食事である」と、結論が一致したのです。

新型栄養失調を知る

「私はちゃんと食事をしているから、『新型栄養失調』は私には関係ない」と他人事に感じている方が多いのかもしれません。しかし、この「自分には関係ない」という思い込みこそが実は危ないのです。

「新型栄養失調」は、私の働いている薬業界ではほぼ標準語のように使われています。つまり、それだけ日常で接するお客さんの中に該当者が多いということです。

「食べる」と「摂る」の違い

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意外なことに、新型栄養失調は3食きっちり食べているという方の中にも該当者がいるそうです。その原因は、食事について「食べる」と「摂る」の違いを認識できていない事に起因します。

取引先の薬剤師の方々からも「この2つの認識がされていない」ということをよく聞きます。「食べる」とは、あくまで行為です。それに対し「摂る」は、栄養を考えた一歩先の行動となります。

食卓に上がる魚を例にあげてみます。イワシのように頭から尻尾までまるごと食べることよりも、切り身などを食べることが多くはないでしょうか。

魚のすべてを食べなくても、腹は膨れます。しかし、必要な栄養で体が満たされないという不思議な事態が起きているのです。これが「食べる」行為による結果です。

栄養を考える上で、一物全体という言葉を良く耳にします。全部を食べなくてはいけないということではなく、食べ物のもっている栄養へ意識を向ける必要があるのです。この意識を向ける行為が「摂る」なのです。

便利さの代償の理解

薬業界の現場では、食事を「摂る」意識にもう一歩踏み込み、食事の内容に対しても警鐘を鳴らしています。注意すべきは、現代の食生活に欠かせない加工食品に含まれる、食品添加物です。

加工食品は長期保存を可能とするために、食品添加物が入っています。この食品添加物を摂りすぎないように意識付けすることが大切です。

食品添加物の実害

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加工食品にほぼ使用されていると言っても過言ではない 食品添加物 に、リン(リン酸塩)があります。リンはもともと体内にも多く存在しており、骨や歯を形成する大切なミネラルの1つです。しかし、加工食品を摂る比率が多いと、リンの摂取量は自ずと増えてしまいます。

リンを摂り過ぎてしまうと、亜鉛・鉄・マグネシウム等、体に必要なその他のミネラルの吸収を悪くしてしまいます。栄養補給をするための食事が、栄養バランスを乱すことになってしまいかねないのです。

本の中では、5大栄養素の過不足から起きる病気に言及する例が数多く紹介されています。それに加えて、食事そのものの組成を意識することも非常に重要であると述べています。

リンを摂りすぎない為には

日本の食事摂取基準では、リンの耐容上限量は18歳以上男女ともに3,000㎎/日と設定されています。

多めに設定されていると感じますが、リンはウインナーやハムなどの食肉加工品、 練り物などの水産加工品、冷凍食品、インスタント麺、 ファストフードなどあらゆるものに添加されています。

私達にまずできることは、知識をもって選ぶことです。数ある食肉加工品業者の中で、安全性を追求し、リンを使わない企業も存在します。例えば、「信州ハム」では、グリーンマークというブランドを展開しており、無塩せき(リンを添加していない)の製品を製造しています。

時間がないときに重宝する冷凍食品やインスタント食品ですが、これらの使用頻度をなるべく少なくすることが大切です。食材から調理をすれば、食品添加物の摂取は少なくなります。

最後に

食事を摂る上で、栄養をバランス良く摂取して不足しているものがないようにすることが大切です。「薬がいらない体になる食べ方」の中では、著者は「栄養を味方につける」という表現をしています。私も、健康に関わる仕事をする上で、まさにその通りであると感じます。

食事を見直すことで、今起きている身体の不調を改善することにつながるかもしれません。ぜひ 薬のいらない健康な生活 を、根本である食事から積み上げていきたいものです。