医薬業界営業マン、おたまさんの日記

「健康に関してプロで在りたい」

【真実は?】ワクチン肯定派・否定派の本を読んで考える

日本国内におけるコロナワクチンの接種回数をNHK特設サイトで時折チェックしているたまです。

ワクチンを我先にと、予約をしているニュースを連日見かけます。これだけ需要が高まっているワクチン接種ですが、いったい私達はいつどのようにワクチンを絶対的に信用していたのでしょうか。疑問が湧いてきました。

本を探してみると、ワクチンを肯定する内容のもの、否定する内容のものがありました。公正に比較してみよう、という事の起こりから本記事の作成に至りました。

参考とした本は以下です。

肯定派

否定派

ワクチン不要論

ワクチン不要論

  • 作者:内海 聡
  • 発売日: 2018/05/29
  • メディア: Kindle版

ワクチンの歴史

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ワクチンの歴史は古く、1796年にイギリスの医学者であるジェンナーが天然痘の予防に邁進したことから始まります。当時はまだワクチンという呼び名はなく、ジェンナーの行った予防法は種痘と呼ばれていました。

ジェンナーの種痘は、牛痘と呼ばれる天然痘に似たウイルスに感染した人のウミを使用しました。牛痘に一度かかった人は、天然痘に感染しにくかったことにヒントを得たそうです。

ワクチンの歴史に関しては正直、肯定派の本を購入しなくても良かったです。大まかな内容を網羅している記事がごろごろありましたので、詳しく知りたい方はぜひ検索してみてください。

現在のワクチン製造方法

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現代のワクチンは、工業的に品質・安全性を管理し、大量生産をしています。

ワクチンを作るためにはウイルス自体を増やす必要であるため、生物が必要不可欠です。そのため、ワクチンを作る際はウイルスの宿主として鶏卵(有精卵)が使用されています。

予防接種 として当たり前に打っているワクチンですが、ウイルスの特性上、ほかの生物の力を借りないと製造できないのです。

ウイルスの増殖メカニズムに関して、興味のある方は以下の記事をご参照ください。

www.otama3.info

ウイルスによる感染症減少理由

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ワクチンのメカニズムは、体に病気の原因となるウイルスを覚えさせ、病気にかかりにくくするというものでした。

もしその理論通りであれば、世界のすべての人にワクチンを接種することで、ウイルス由来の感染症が撲滅できます。

実際はどうかというと、理論通り先進国では感染症の致死率は圧倒的に低くなりました。しかし、発展途上国ではいまだに、感染症は死亡率の高い病気として猛威を奮っています。感染症の死亡率は、医療水準の違いにより左右されます。発展途上国間でも死亡率に違いを生じさせる要因であると考えらます。

真実は何なのでしょうか。このあたりから、 ワクチン肯定派と否定派 の主張が真っ向から対立してきます。

ワクチンのおかげ(肯定派)

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日本に住んでいる場合、生後2ヵ月ごろからワクチンを接種し始めます。住んでいる市町村ごとで、定期予防接種があるはずです。住んでいる市町村HPをご覧になればすぐ出てくると思います。

そんな定期接種の中から、本でも紹介されている麻疹(はしか)を取り上げてみます。麻疹は1978年から定期接種の対象となりました。麻疹が流行していた当時、ワクチンを打つことによる恩恵が現れていたようです。打った人は、感染しても症状が現れない、不顕性感染だったそうです。

肯定派の本の中でも、国のHPでも、麻疹は非常に感染力の強いウイルスであると記載されていました。そんな麻疹ですが、2007〜2008年に 平成の大流行 を起こします。

麻疹流行の歴史

ワクチンの普及により、麻疹にかかっている人が減少した結果、人々の体が持つ麻疹に対する免疫が次第に落ちていきました。そのため、免疫機能が低下してしまった人たちの中で発症が加速したという説明がされています。

歴史上、ワクチンが無かった江戸時代は、約270年間の歴史の中で13回の麻疹の流行があったそうです。計算すると、約20年に1回のペースで流行しています。平成は31年の間に1回、しかも10代〜20代の限定的な流行で収束しました。それまでのワクチン接種が活きた結果とのことです。

麻疹の大流行とのことだったので、厚生労働省の対策推進会議資料を確認してみたところ、2008年の感染者週は1万1千人程でした。日本国内でインフルエンザにかかる人数は、年間1000万人以上です。

麻疹、インフルエンザは共に五類感染症という感染症に分類されていました。感染者数の数がこれだけ違っているうえで同じ分類となると、 大流行の基準 は何なのでしょう。現在WHOにおいて、各国での流行と市中感染の確認がなされた場合、大流行とみなされるようです。

ワクチンこそ蔓延の原因(否定派)

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ワクチンを作り出したジェンナーは、天然痘予防のために種痘という手法を編み出しました。しかし、その種痘が 感染症の拡大 をもたらした、と言われたら信じられますか。

このワクチンの元祖を否定する話は、明治時代の日本で起こっていました。記録によると、1892年に天然痘の感染者が16万人も発生し、3万人の方が亡くなったそうです。

ワクチンの歴史で学んだジェンナーの功績とは、真逆の事態が起きていたことが明らかにされました。

インフラ整備と栄養

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感染症の減少とワクチンの因果関係を無縁としたうえで、否定派は感染症の流行を止めた理由をこのように述べています。感染症を激減させたもの、それは社会の インフラ整備と栄養状態の改善 であったと。

ワクチン否定派の本である「ワクチン不要論」の中では、麻疹の感染状況の変化に対して記述しています。その中に、イングランド及びウェールズにおける、麻疹による15歳以下の子供の死亡率のグラフが提示されています。

時系列に沿って見ていくと、1910年ごろを境に急激に死亡率が下がることがわかります。産業革命後で、様々な社会インフラが整備されていった時代と重なっていることを強調していました。

海外のデータでしたが、1910年ごろといえば日本も工業化が進んだ時代です。インフラ整備による環境の衛生は、まったく同じでなくとも先程のデータに近いことが起きていたかもしれません。

この本の語り口は軽快ですが不快に感じる方もいるかもしれません。しかし、科学的根拠に基づいた内容構成がなされています。

おわりに

肯定派、否定派共に、本を執筆されていたのは医者です。日本ではお医者さん、とその権威に尊敬をもつ立場の方々です。

しかし、同じ立場の方であっても、主張や考え方は違っています。

偏らず、冷静に物事を見つめるためにあえて極端な調べ物をしましたが、思考を止めないことが大切です。ワクチンはあくまで任意ですから。