腸活を始めたころは誰しも、腸に良いことをしよう!と躍起になりがちな傾向があります。しかし、学びを深めていくとあることに気付かされます。それは腸と脳が驚くほどに連動しているという事実です。この連動のことを 脳腸相関 といいます。
以前の記事で紹介したように、食事から摂る栄養を整えることは、腸内環境を改善する1つの方法です。
しかし、全ての人が食事を整えることで、腸内環境が改善されるわけでありません。脳腸相関、つまり腸と脳とストレス、この関係性を理解することで腸内環境をより改善する可能性が高まります。
腸と脳の関係性
腸活に関する本は数多く出版されています。また、TV CMなどのメディアでも、見ない日がないくらい「腸内細菌が健康において重要である」と、活発に情報発信されています。
結果として、「腸を大事にすることは大切だ」という考え方は深く浸透したようです。
この注目を浴びている腸と密接なのが、脳です。 腸脳力(ちょうのうりょく) という言葉を聞いたことはありますか?初めて聞いた方もいるかもしれませんが、脳腸相関を意味する言葉の1つです。このような造語が生まれるほど、医薬業界の現場でもこの2つの臓器の関係性を重要視しているのです。
腸は脳の先輩
腸が何故ここまで重要視されるのか、カイチュウ先生こと藤田紘一郎先生は「腸は脳の先輩にあたる始まりの臓器である」と述べています。
生物史において、単細胞生物から動物への進化の過程でも、この説は事実であることがわかります。
人間に置き換えて考えてみると、受精卵からの発生過程においても同様であることが確認できます。胎児の成長過程において、腸が発生した後に脳が発生しているのです。生物史、また生物学的に見ても確かに腸は脳の先輩でした。
腸と脳は連携を取り合っている
脳は後発の臓器でありながら、全身の臓器に働きかける司令塔としての役割を持っています。視覚、聴覚、嗅覚、ストレス状況など様々な情報から最適解を導き出します。
腸はというと、口から入ってきた食べ物と消化液を混ぜ、栄養を吸収する役割を担っています。この役割は腸という臓器だけでは決して果たすことはできません。様々な腸内細菌が関わり、共生することで可能となっています。
脳腸相関はその名前の通り、一方通行のつながりではなく、相互に関係をもっています。脳からはホルモン分泌、腸からは腸内細菌たちの分泌成分によって情報をやり取りしているのです。
脳腸相関:緊張するとお腹が痛くなる
TV CMで医薬品「ストッパ下痢止め」を見たことはありますか?このTV CMはまさに脳腸相関(この場合は悪影響)を示しています。
ストレスによってお腹が痛くなる仕組みはこうです。脳がストレスを受容すると、脳はコルチゾールというホルモンを分泌します。腸はこのホルモンの作用により、蠕動運動が活発になったり、腸内細菌のバランスに変化 が起きます。
腸と脳とストレスが連動し、緊張した場面において腹痛が現れているわけです。ストレスが過剰となり、この症状が慢性化している症状を、過敏性腸症候群といいます。
上手な腸活をする上で
眠らない人がいないように、ストレスを受けない人もいません。しかし、ストレスの感受性とは個性と同じように人それぞれ異なっています。
ストレスを完全に回避することは難しいことです。ですが、自身がストレスを強く受けているかどうかは常に、脳腸相関を利用することで判断できます。
ストレスを受けて腸の状態が悪くなると、腸内細菌のバランスが崩れて便やおならの匂いが悪くなります。腸からの便りを、状態把握の手段にできるのです。
脳腸相関は一方通行ではなく、相互に関係していることから、腸活はストレスにも良い影響を与えることができます。今後、この相互作用を踏まえ、実践できる腸活メソッドを紹介していきます。